米国不動産 Q&A 教えて!けいこ先生

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けいこ先生

けいこ先生(LA在住)
出身地:東京
LAで事務所をもつCPA
30歳
日英バイリンガル

けいこ先生

源さん(日本在住)
出身地:江戸っ子
呉服屋
45歳

  

エスクロー(Escrow)とは?

けいこ先生 アメリカで不動産を売買する際に重要な「エスクロー(Escrow)」について説明したいと思います。
最近は日本の大手オークションサイト等でも利用されているので、単語自体はご存知の方も多いと思います。そもそも、不動産売買という取引は高額な取引です。
ましてやアメリカという国は広大な国。例えば西海岸の不動産の売買をする場合を考えてみたとしても、売主・買主のどちらかが東海岸に所在する個人・法人だったりするかもしれません。更には売主・買主が国外にいる個人・法人であるかもしれません。
(これは即ち、外国人・外国籍である個人・法人でもアメリカ国内の不動産を所有することが何の問題もなく認められているという市場環境に基づいています。)ここで、もしもエスクローシステムがない場合について考えてみましょう。
この場合、大きな問題点の一つとして、 『買主が売買金額を売主に支払うのが先か、売主が買主へ所有権を移転する旨の書類を担当当局に登記するのが先か、どちらを先にするべきか。』という問題が発生してしまうのです。
当然、これらを同時に行うことが理想的です。実際に例えば日本での不動産取引では買主、売主を含めた関係者全員が銀行の決済場所に集まって、上記の手続きを同時に行うことが最も一般的なのではないでしょうか。しかしながらアメリカでは先に述べた理由等により、関係者全員が一つの決済場所に集まって手続きを行うことが難しい場合が多々あるのです。

そこで、エスクローという仕組みが非常に役に立ってきます。

エスクロー(Escrow)とは、売主・買主の間に入り、中立的な立場で不動産売買の実務を行う民間の第三者機関(会社)です。一般的には、売買契約書に売主・買主両方のサインが記入され、売買契約書が締結となった後、買主もしくは買主側の不動産エージェントがその締結済みの売買契約書をエスクロー会社に届けることにより、事務手続きがスタートとなります。(このことをアメリカの不動産業界では『エスクローのオープン』と言ったりもします。)

エスクロー会社の役割は、売買契約書の内容を確認し、その中に記載されている通りの条件にて不動産物件の売買を完了させ、スムーズな物件の引渡しをすることにあります。(物件引渡しのことをアメリカの不動産業界では『エスクローのクローズ』と言ったりもします。)

げんじ 具体的に、エスクロー会社は何をしてくれるのでしょうか。
けいこ先生 エスクロー会社の具体的な役割は、・買主から売買代金を受け取り、保持し、売買が完了する際に売主に支払いを行う。

・固定資産税、(コンドミニアム等の)管理組合費、特別地方税等の日割計算を行い、買主、売主のそれぞれが支払うべき金額を当事者に伝え、担当当局に支払いを行う。

・買主が不動産ローンを利用して物件を購入する場合には、買主と債権者間での借用証書等の契約書の締結をサポートする。

・売主がその不動産を担保とした不動産ローンを組んでいる場合には、その債権者に対する不動産ローンの完済(ペイオフ)の事務手続きのサポートする。

・不動産譲渡税を当該当局に支払う。(不動産譲渡税を売主・買主のどちらが払うかに関しては売買契約書の中で取決めをしておくことが最も一般的です。)

等が挙げられます。

げんじ なるほど。
売主・買主の間に、第三者機関であるエスクロー会社が入ることにより、より安全に不動産取引を締結することができるようになるわけですね。
エスクローを通さなくとも不動産売買を完結することができるのでしょうか。
けいこ先生 現在、アメリカではエスクロー会社を通して不動産売買を完了させることが最も一般的となっています(その他の手段としては、売買契約に関わる弁護士がエスクロー業務を兼任することもあります)。
げんじ エスクローの期間はおおよそどれくらいでしょうか。
けいこ先生 売買が行われる案件が住宅物件か商業物件か、現金購入かローンを組むか、取引価格はいくらか、等によって様々ですが、一般的には住宅案件は14~60日程度、商業物件では30~120日程度の期間を要することが多いようです。
げんじ 友人が不動産を売却する際に、エスクローが予定通りにクローズできずに、10日間延長してしまった、と言っていました。これはなぜですか?
けいこ先生 不動産売買取引の際には、売買契約書の中でエスクローの期間は何日間であり、物件の引渡しは〇月〇日である、と決めてから取引が開始されます。
しかしながら例えば、『買主のローンの査定に予定よりも時間がかかってしまった。』、『修理をしてから物件の引渡しを行う契約になっていたが修理を行う作業期間が延びてしまった。』等様々な理由でエスクロー期間が延長されることがあります。エスクロー期間が予定よりも延長される場合には、買主、売主双方の同意が必要となります。双方が同意をすることにより、エスクロー期間を延長し、物件引渡し日を遅らせることとなります。
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